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朝、いつものように目覚まし時計のアラームで目を覚まし、だるいなあ、と思いながらも身体を起こした。
外はまるで夜のように無音。何も聞こえない、静かな朝だった。
「……………?」
時計を見る。七時。太陽は昇ってるはず。じゃあ、聞こえていないとおかしいよね。
雨の音、が。
……………聞こえ、ない?
バンッと鞄を叩きつけるように、机に置けば、ビクッと冬夜が肩を大きく震わせた。なんなんだ、と目で訴えられたが、そんなの気にもならなかった。そのままがっしりと肩を掴んで、
「ねえっ、雨降ってないよ、ね!?」
確認。
一応ね。
だって、これあたしの願望がとうとう幻になって現れただけかもしれないし…そうだったら悲しいでしょ?
だから、確認。
「え、あ、あぁ。降って………ないな」
「やっぱり!」
パッと手を離し、思わず小躍り。
「おい……なんなんだアレ」
「ああ、アレね。私も今朝やられたわ」
「相当嬉しいんだね、近江さん」
「だって利央ちゃん、青い空見たい~ってずーっと言ってたもん!」
浮かれすぎていて、そんな外野の声も聞こえていなかった。
頭の中は、今日の撮影は絶対外でやろうとか、それじゃあどこで撮ろうとか、それを考えることに使われていたから。
空は青い。雲…は白いとまではいえない、どこか灰色がかったそれだけれど、でも…。
夢が叶った。
絶対叶わないと、本当は心の片隅で諦めていたソレが。
嬉しい。その一言では言い表せないくらい、嬉しくて。
(空ってあんな色なんだ…本当に冬夜の目の色とそっくりなんだなぁ……)
ただ、見惚れていた。
++ 近江利央(オウミ・リオ) ++
青い空を見るのが夢。面倒臭がり屋だが、苦労性。
++ 久遠イオリ(クオン・イオリ) ++
利央の幼馴染兼親友。小一からずっと同じクラスという仲(利央曰く、腐れ縁)。面白いことが好き。
++ 加嶋夏夜(カシマ・カヨ) ++
写真部顧問。男勝りな性格。部室である資料室を占拠している本やら何やらは、大半がこの人の私物。
++ 加嶋冬夜(カシマ・トウヤ) ++
夏夜の弟で、転校生。空色の瞳を持つ。